通夜

朝起きると、空はどんより曇り。まるで今の心の中のようだ。昨日のことは夢ではなく、じぃちゃんは和室に静かに横たわっていた。シャワーを浴びても、頭がボーッとしているような感じだ。
昨日来てくれていた新十津川の親戚が、今朝お墓に行って家紋を書き写してファックスしてくれた。感謝。これで香典返しに家紋を入れられる。
11時頃に湯灌が始まる。湯灌の最後に少し拭かせてもらう。じぃちゃんの肌は冷たい...もうじぃちゃんは起きないのだなと改めて感じた。そして入棺。じいちゃんが最も長く家族と過ごした土地と同じ「十勝」という名の棺。ヒロタン、ヤッチと共に棺に納める。じぃちゃんの重みを感じる。
15時過ぎ、ベルコさんが来て棺を車に運ぶ。とうとうじいちゃんの肉体はこの家を去るのだな...。
皆はベルコさんのバスに乗って会場へ向かい、私は忘れ物等の不測の事態を考えて一人でデミオで向かう。会場について、嫁さんから着替えを受け取る...礼服・黒ネクタイなどはあるが、Yシャツがない...Tシャツもない...。早速の不測の事態、デミオの活躍の場が与えられた。会場に泊まると思っていなかった静岡の叔母さんを乗せて家に走った。備えあれば憂いなし。
通夜が始まるまで、別室で夕食を済ませ、式場の隣の和室で休憩。18時近くになり、通夜が始まる。突然の事なのに、沢山の人が集まってくれていた。ウチの会社からも想像以上の人数が来てくれている。忙しいところわざわざ来てもらって、感謝感謝。
読経中、みぃたんが力尽きて寝てしまい、急いで和室に寝かせる。お経の調子は眠くなるもんなぁ...しょうがない。
施主である長男のヒロタンの立派な挨拶で締め、式は滞りなく終えた。夜は通夜会場が会食場に変わり、30名程の残った親戚で会食。皆で昔話や芸能話等の馬鹿話で盛り上がり、じぃちゃんの前で笑いながら夜を過ごす。
神も仏も悪魔も私の願いを聞き入れてくれなかった。もはや断ち続ける理由もなくなったので、ビールを3杯飲み干し、隣の席のヤッチからマイルドセブンスーパーライトをもらい、515日ぶりに煙草に火をつける。久しぶりの煙草...うまい!1本目はちょっとクラクラしたが、昨日まで吸い続けていたかのように体はすんなりと受け入れた。早速1階の自販機からピースを...無かったからピースライトを1箱買って吸う。
子供たちもウェイター・ウェイトレスごっこで深夜1時過ぎまで遊んでいたが、夜も更け、目がとろんとして来たので寝かしつける。そらとサヤちゃんはすぐに寝たが、通夜の式典の間寝ていたみぃたんはしぶとく、自分の方が先にダウンして朝まで寝てしまった。
皆と朝まで起きようと思っていたのになぁ。